「リーマンショックでは株価が60%以上下落した。
だからそのくらいは覚悟しておきましょう!」
投資を始めると、よくこう言われます。
数字として聞くと、多くの初心者はこう思うはずです。
「それくらいなら大丈夫」
頭では理解できます。
想定もできます。
でも
現実はまったく違います。
実際に暴落が起きると、株価は毎日のように下がり続けます。
底がどこかも分からず、いつ回復するのかも分かりません。
「今回こそはもう回復することはないんじゃないか」という不安におちいります。
ニュースでは企業の倒産が流れ、景気悪化を肌で感じ始めてきます。そして次第にこう考えるようになります。
「自分の仕事は大丈夫だろうか」
資産の減少だけではなく、生活の安心も脅かされてきます。
そんな状況の中で本当にこれまで通り、毎月淡々と投資を続けられるでしょうか?
怖くて積立できなくなります。
想像の中では冷静でいられても、現実の暴落では心が揺れます。
これが投資のメンタルの本質です。
この記事では、リーマンショックを経験して感じた
「想定と現実のギャップ」について整理していきます。
暴落前:誰もが「大丈夫」と思っている
暴落の話を聞くとき、多くの場合は過去のデータとして語られます。
「リーマンショックでは株価が60%以上下落した」
「だからそのくらいは覚悟しておきましょう」
こう言われると、数字としては理解できます。
そして多くの人はこう考えます。
それでも長期投資なら問題ないだろう。
過去には回復している。
時間をかければ戻る。
積立なら乗り越えられる。
理屈としては正しいです。
しかしこの段階での理解は、あくまで机上の想定です。
実際の暴落を経験していない状態では、下落の重さや心理的な圧力を本当の意味で理解するのは難しいです。
暴落時に起きる「思考フリーズ」という現象
暴落前は多くの場合、含み益が出ていてチャートを見るのが楽しく感じられます。
しかし、実際に下落が始まると、想像していた状況とはまったく違う現実に直面します。
自分のお金が減っていく恐怖は想像以上に強く、冷静さを保つことが難しくなります。
株価は一度下がるだけではありません。毎日のように下がり続けます。
反発したと思えばまた下落。そんな動きが繰り返されます。
ここが底だろうと思って、買い増ししたらまた下がる!
損切りしようと考えても「もう少し待ったらまた上がるかもしれないな」と躊躇しているうちに更に下落する。
本当に底がどこか分からない。
回復時期も見えない。
次第に頭の中に浮かぶのは、
「今回はもう回復しないのではないか」という不安です。
こうした心理状態では判断力が鈍り、いわば思考がフリーズしたような状態に陥ります。
その間にも株価は動き続け、下落は進んでいきます。
冷静であり続けることは、想像している以上に難しいのです。
資産以外の不安が投資判断を揺らす
暴落時に精神的な負荷を大きくするのは、資産の減少だけではありません。
ニュースでは企業の倒産が増え、景気悪化が連日報道されます。
街の空気も変わります。
消費が鈍り、先行きの不透明感が広がり、失業率も増えてきます。
そして自然とこう考え始めます。
自分の仕事や収入は大丈夫だろうか。
そんな状況で毎月積立できなくなります。
もしものために現金として持っておかないとと考えてしまいます。
この状態になると、合理的な投資判断を維持する難易度が一段上がります。
積立継続が難しくなる本当の理由
理論上は、暴落時こそ積立を続けるべきとされています。
安く買えるからです。
しかし実際には継続が難しくなります。
含み損が拡大し続ける状況で、さらに資金を投入することには強い抵抗が生まれます。
本当に投資していいのか
現金を確保すべきではないか
もっと下がるのではないか
こうした思考が繰り返されます。
結果として
投資額を減らす
積立を停止する
市場から離れる
こうした行動に至るケースは珍しくありません。
継続を難しくする要因は、知識不足ではなく心理的負荷なのです。
リーマンショックを経験して学んだこと
実体験として理解したのは、暴落は単なる価格変動ではなく心理イベントであるという点です。
想定だけでは対応できません。
重要なのは
生活に影響しない資金で投資する
不安が出る前提で設計する
継続できる金額にしておく
といった現実的な準備でした。
投資戦略は、理論的な最適解だけでなく、自分が耐えられる範囲に合わせて構築する必要があります。
今からできる暴落への現実的な備え
暴落時に冷静でい続けるためには、精神論ではなく事前の環境づくりが重要です。
相場が崩れてから対策を考えても、判断力はすでに鈍っています。
平常時に準備しておくことで、心理的な動揺を大きく減らせます。
生活防衛資金を用意する
まず最優先なのは、生活費とは完全に切り離された資金を確保しておくことです。
目安としては、数か月〜1年分の生活費
これがあるだけで状況の見え方は大きく変わります。
相場が下落しても売却を迫られない
「今現金が必要」という焦りが消える
投資判断を生活不安に支配されなくなる
暴落時にパニック売りが起きる最大の理由は、資産減少そのものではなく、生活への影響を恐れる心理です。
生活防衛資金は、リターンを生まない代わりに投資家の精神安定を生む最重要装備です。
投資対象をむやみに変更しない
暴落が近づくと、
ゴールドに移すべきか
債券を増やすべきか
株式を減らすべきか
といった「防御的な組み替え」を考えがちです。
しかし長期投資前提でオルカンなどの分散インデックスを選んでいる場合、暴落を理由に戦略を変える必要は基本ありません。
理由はシンプルです。暴落のタイミングは予測不能
資産配分変更=実質的な相場タイミング投資
戻り局面を逃すリスクが高いです。
戦略は平常時に決め、相場状況で動かさないことが再現性の高い行動になります。
本当に必要なのは資産配分の変更ではなく、事前に決めた方針を守れる環境づくりです。
まとめ|想定だけでは冷静になれない
暴落の下落率は、数字として知ることはできます。
しかし実際に経験したときの心理的影響は、想像より大きくなりがちです。
投資は知識だけではなく、感情との向き合いでもあります。
だからこそ重要なのは、冷静でいられることを前提にするのではなく、揺れても続けられる仕組みを作ることです。
それが長期投資を続けるうえでの、最も現実的な防御になります。