投資をしていると、つい考えてしまいます。
「もし大暴落が来たらどうしよう」
歴史を見れば答えは明確です。
株式市場において、暴落は例外ではなく「周期的に起こる現象」です。
問題は、暴落を避けられるかではなく、暴落を前提に戦略を立てることです。
暴落は必ず来る
過去を振り返れば、大きな下落は何度も起きています。
これらに共通しているのは、
- その時代ごとに「今回は違う」と言われた
- 下落中は悲観論が支配した
- それでも長期的には回復してきた
暴落は「予測できない形」で突然やってきます。
そして、「今回こそは株価回復しないのではないか?」という雰囲気に飲まれてしまいます。
これは人間の本能です。
世界株は暴落しながらも右肩上がりに成長するということを常に心に留めておく必要があります。
だからこそ重要なのは、暴落を当てることではなく、備えることです。
私は、40〜60%の下落は起こり得るものとして、あらかじめ資産設計に組み込んでいます。
暴落を恐れて投資をやめるのではなく、暴落を前提に戦略を持つ。
その違いが、長期投資の結果を分けると考えています。
過去の主な大暴落
オイルショック(1973年)
主な原因は、中東地域での紛争に起因する原油の供給不足と価格急騰です。世界的なインフレと景気後退が発生。
米国株は約45%下落しました。
ブラックマンデー(1987年)
1987年10月19日、NYダウは1日で約22%下落。
単日下落率としては歴史的な暴落です。
原因はプログラム売買の連鎖や過熱相場の反動とされています。
パニック的な売りが一気に広がりました。
ITバブル崩壊(2000年)
インターネット関連株が過熱し、その反動で崩壊。
ナスダック指数はピークから約70%下落しました。
「成長神話」が崩れた典型例です。
リーマン・ショック(2008年)
米投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻をきっかけに、世界的な金融危機へ。
世界株式は約50%超の下落。
金融システムそのものが揺らぎました。
コロナショック(2020年)
新型コロナウイルスの世界的拡大により、わずか1か月ほどで30%以上の急落。
特徴は「下落スピードの速さ」。
ただし、その後の回復も非常に早かったのが印象的です。
なぜ人は暴落で動けなくなるのか
暴落時に冷静でいられる人は、ほとんどいません。
普段は「長期投資だから大丈夫」と言えていても、いざ資産が20%、30%と減っていくと、感情は簡単に揺らぎます。
それは意志が弱いからではありません。人間の脳の仕組みとして自然な反応です。
含み損は「本能的な恐怖」を刺激する
資産が減るというのは、脳にとっては「危険」と同じ信号です。
行動経済学では「損失回避バイアス」と呼ばれます。
人は、同じ金額の利益よりも、損失のほうを約2倍強く感じると言われています。
プラス100万円の喜びより
マイナス100万円の苦痛のほうが、はるかに強くなります。
だから暴落時は、合理的な判断が難しくなります。
「まだ下がるかもしれない」という恐怖
暴落中は、常にこう思います。
「今買っても、もっと下がるのではないか」
実際、下落局面では悲観的なニュースが続きます。
専門家の警告や、SNSなど不安を煽るタイトル、メディアの見出し。
2008年のリーマン・ショックでも、2020年のコロナショックでも、底値では強気な声はほとんどありませんでした
底は、後になってからしか分かりません。
だから人は、動けなくなります。
私の基本戦略
暴落時の行動を語る前に、前提となる「基本戦略」を整理しておきます。
なぜなら、買い増しルールは単体では機能しないからです。
土台となる運用方針があってこそ、暴落時の判断が意味を持ちます。
私の戦略は、特別なものではありません。派手さもありません。
でも再現性があり、感情に振り回されにくい設計にしています。
私の基本戦略は、
- 分散
- 継続
- 余力確保
- 予測しない
この4つで構成されています。
この土台があるからこそ、暴落時の買い増しルールが機能します。
長期のインデックス投資(オルカン+S&P500)
私の投資の中心は、広く分散されたインデックス投資です
具体的には、いわゆるオルカン(eMaxis Slim全世界株式)とeMaxis Slim米国株式(S&P500)の商品を両方保有しています。
個別株で大きなリターンを狙うのではなく、世界全体の成長に乗ることを目的としています。
理由はシンプルです。
- 長期で見れば世界経済は成長してきた
- 個別銘柄の未来は読めない
- シンプルな方が続けやすい
リターンの最大化よりも、「継続できる構造」を優先しています。
毎月27万円を機械的に積み立てる
毎月の積立額はNISAとiDeCoに合わせて27万円です。
市場が上がっても下がっても、設定は変えません。
- 上がっても買う。
- 下がっても買う。
新NISAは途中でやめない前提で、毎月自動積立にしています。
iDeCoも満額拠出(私は会社員、妻は個人事業主)
相場状況によって積立を止めることはありません。
暴落時こそ積立を止めたくなりますが、そこを機械的に続けることが、長期投資の核だと考えています。
現金を一定割合保有する
私は投資資産の約7%を現金で保有しています。(投資資産を1,900万円。生活防衛資金を600万円としています)
現金7%は、リターンを高めるためではなく、精神的安定と機動力を確保するためです。
- 精神安定剤
- 暴落時の買い増し余力
- もし毎月積立ができなくなった場合の資金
この3つの役割を担っています。
タイミングは予測しない
私は、「いつ暴落が来るか」は考えません。
相場を読む能力は、私にはないと認めています。
- 今は割高か?
- そろそろ暴落するか?
- 今が底値か?
その代わりに、
- 暴落は起きる
- 回復も起きる
この2つの前提だけを受け入れ、あらかじめ行動を決めておきます。
これが私のスタンスです。
私の買い増しルール
私は「感情」ではなく「比率」で判断します。
相場が上がったか下がったかではなく、ポートフォリオのズレだけを見るようにしています。
以下の表の比率を基準とし、次の2つのタイミングで動きます。
| ポートフォリオ | 割合 |
|---|---|
| 現金 | 7% |
| 株式(オルカン・S&P500) | 85% |
| 先進国債券 | 5% |
| その他(暗号資産・REITなど) | 3% |
このルールの目的
- 相場を予測しない
- 感情を排除する
- 機械的に安値を拾う
- リスク量を一定に保つ
派手さはありませんが、長期では一番再現性の高い方法だと考えています。
年始に必ずリバランス確認
年1回、資産配分をチェックします。
割合が5%以上ズレていたら、元の設定していた比率に戻すように売買し直します。
目的は「当てにいくこと」ではなく、リスク量を一定に保つことです。
5%以上ズレたときは即実行
例えば、株式(オルカン・S&P500)の割合が、85%から80%以下になった場合。
このように5%以上のズレが発生した場合は、年を待たずにリバランスします。
下落局面では自動的に「安く買う」ことになります。
失業などで積立が止まった場合
積立ができなくなった場合は、現金7%を使って積立を継続します。
暴落時こそ積立は止めない。そのためのキャッシュポジションです。
復業後は、現金の積立割合を増やして時間をかけて5%へ戻していきます。
シミュレーションしてみる
本当にリバランスで資産は増えるのか?シミュレーションしてみます。
現在の配分は以下の通り、投資資産1,900万円で試算します。
| ポートフォリオ | 割合 | 金額 |
|---|---|---|
| 現金 | 7% | 約133万円 |
| 株式(オルカン・S&P500) | 85% | 約1,615万円 |
| 先進国債券 | 5% | 約95万円 |
| その他(暗号資産・REITなど) | 3% | 約57万円 |
| 合計 | 100% | 1,900万円 |
ケース1:株式・その他ともにマイナス30%の下落
株式・その他ともに30%下落した場合を見てみましょう。
債券と現金は変動なしと仮定します。
下落後の総資産は1,398万円と想定されます。
| ポートフォリオ | 割合 | 金額 |
|---|---|---|
| 現金 | 9.5% | 約133万円 |
| 株式(オルカン・S&P500) | 80.5% | 約1,130万円 |
| 先進国債券 | 6.8% | 約95万円 |
| その他(暗号資産・REITなど) | 2.8% | 約40万円 |
| 合計 | 100% | 約1,398万円 |
株式は85% → 約80.5%へ。
約5%以上のズレ発生したのでリバランスを実行します。
ケース1:リバランス実行
下落後の総資産1,398万円の株式を85%へ戻すため、現金約58万円を使用して株式を買い増しします。
先進国債券は5%以上ズレていないのでそのままとします。
| ポートフォリオ | 割合 | 金額 |
|---|---|---|
| 現金 | 5% | 約70万円 |
| 株式(オルカン・S&P500) | 85% | 約1,188万円 |
| 先進国債券 | 6.8% | 約95万円 |
| その他(暗号資産・REITなど) | 3% | 約40万円 |
| 合計 | 100% | 約1,398万円 |
ケース1:その後、株価が元の水準へ戻った場合
その後、株価が元の水準に戻った場合を見てみましょう。
総資産は約1,925万円になります。
微増ですが暴落前より25万円増えています。
暴落から回復するまでの期間、毎月積立ていると更に増加していきます。
| ポートフォリオ | 割合 | 金額 |
|---|---|---|
| 現金 | 4% | 約70万円 |
| 株式(オルカン・S&P500) | 88% | 約1,698万円 |
| 先進国債券 | 5% | 約95万円 |
| その他(暗号資産・REITなど) | 3% | 約57万円 |
| 合計 | 100% | 約1,925万円 |
やったことは1つだけ。崩れた比率を元に戻しただけ。
相場予測は一切していません。
ケース2:株式・その他ともにマイナス50%の下落
株式・その他ともに50%下落した場合を見てみましょう。
債券と現金は変動なしと仮定します。
下落後の総資産は1,064万円と想定されます。
株式比率は85% → 約74.6%と10%以上ズレています。
| ポートフォリオ | 割合 | 金額 |
|---|---|---|
| 現金 | 13% | 約133万円 |
| 株式(オルカン・S&P500) | 76% | 約808万円 |
| 先進国債券 | 9% | 約95万円 |
| その他(暗号資産・REITなど) | 3% | 約29万円 |
| 合計 | 100% | 約1,064万円 |
ケース2:リバランス実行
株式が現在約808万円なので、現金より約97万円を買い増し実行します。
| ポートフォリオ | 割合 | 金額 |
|---|---|---|
| 現金 | 3% | 約36万円 |
| 株式(オルカン・S&P500) | 85% | 約904万円 |
| 先進国債券 | 9% | 約95万円 |
| その他(暗号資産・REITなど) | 3% | 約29万円 |
| 合計 | 100% | 約1,064万円 |
ケース2:その後、株価が元の水準へ戻った場合
株式・その他が下落前へ回復した場合、株式が約904万円から約1808万円へ回復します。
総資産は約1,996万円になります。
暴落して戻っただけで約100万円増えています。
| ポートフォリオ | 割合 | 金額 |
|---|---|---|
| 現金 | 2% | 約36万円 |
| 株式(オルカン・S&P500) | 91% | 約1808万円 |
| 先進国債券 | 5% | 約95万円 |
| その他(暗号資産・REITなど) | 3% | 約57万円 |
| 合計 | 100% | 約1,996万円 |
このルールのメリット・デメリット
メリット
暴落時に自動で動ける
株式比率が崩れたら、機械的に買い増しをおこないます。
判断は「恐怖」ではなく「数値」です。
マイナス30%、マイナス50%と下落しても、やることは決まっているので、迷いが減ります。
安値で株数が増える
暴落時は価格が下がるので、同じ金額でも多くの株数を取得できます。
価格が元に戻るだけで、資産が上乗せされます。
実際、マイナス50%後に回復したケースでは約100万円増えました。
リスク量を一定に保てる
株式85%という上限を守ることで、過度なリスク拡大を防げます。
上がりすぎれば一部売却し、下がりすぎれば買い増しする。
「攻めながら守る」設計です。
相場予測が不要
景気予想も、金利予測も不要です。
やることは1つだけ!崩れた比率を戻すだけ。
デメリット
暴落中は本当に怖い
総資産1,900万円が1,064万円まで減る可能性がある。
机上では冷静でも、実際にマイナス800万円を見るのは簡単ではない。
心理耐性が前提です。
現金が減る
マイナス50%時には約100万円投入するので、現金比率は約3%まで低下します。
連続暴落が来たら、現金比率が減ってきます。
回復が長期化すると苦しい
リーマンショック後のように、数年低迷すれば、リターンはすぐには出ません。
「戻る前提」の戦略である投資戦略になります。
まとめ
暴落は、いつか必ず起こります。
30%下落。
50%下落。
総資産が1,900万円の場合、シミュレーションすると800万円以上減る局面も、現実として起こり得えます
それでも、投資のルールはシンプルです。
株式比率が崩れたら、戻す。
上がりすぎたら、戻す。
やっていることは「予測」ではなく「復元」です。
実際に暴落後にリバランスを行うシミュレーションすると
- マイナス30%後からの回復で+25万円
- マイナス50%後からの回復で+約100万円
価格が「元に戻っただけ」で資産は増えています。
ただし前提があります。
暴落中に、ルール通り動けること。
怖いときに買えるのは、勇気ではなく、事前に決めた設計です。
このルールは最速で増やす方法ではありません。
でも、途中で投資をやめないための設計です。
長期投資で一番強いのは、当てる人ではなく、続けた人。
そのための仕組みが、私の買い増しルールです。